美容医療サイトでの医療広告ガイドラインの遵守状況を調査

一般社団法人eヘルス協議会(東京、代表理事・三谷博明)は、2018年6月の医療法改正により医療機関のウェブサイトが広告規制の対象になって2年半以上経過したことを踏まえ、このたび、日本インターネット医療協議会と共同で、主に自由診療などで美容医療を行う医療機関のウェブサイトにおける医療広告規制の遵守状況に関する調査事業を行いました。

今回の調査は、当協議会が独自にリストアップした全国の美容医療を行う美容外科や形成外科等の診療科を有する病院、診療所1,085件の中から、インターネットで実際にアクセスが可能であった782件の医療機関サイトを対象に、2020年11月25日から2021年3月3日の間に行われました。調査の内容は、医療広告ガイドラインで規定されている自由診療に関する治療の方法(調査時点でガイドラインの広告可能事項12号関係)の記述や治療の前又は後(ビフォーアフター)の写真の掲載にあたって必要とされる、①治療の内容や費用に関する事項の記載、②リスク・副作用に関する事項の記載といった、広告可能事項の限定解除の要件が満たされているかどうか、また、新しいガイドラインで禁止となった治療の内容や効果に関する体験談(口コミ)の掲載の有無についての3点に絞り込みました。

調査の結果、自由診療に関する治療の方法の記述において、限定解除の要件を満たす項目の記載ができていないところが607件(77.6%)ありました。また、ビフォーアフターの写真を掲載するにあたって、限定解除の要件を満たす項目の記載ができていないところが207件(26.5%)ありました。そして、医療機関サイトでは掲載が禁じられている、治療の内容や効果に関する体験談(口コミ)の掲載が319件(40.8%)ありました。この体験談の中には、医療機関の交通案内のGoogle地図の中に掲載される口コミ(場所の指定方法の工夫により口コミの表示の回避が可能)も含まれています。

これらの結果から、法改正からしばらく経っても、美容医療を行う自由診療の分野では広告規制の効果が十分出ていない状況がうかがえました。現在、厚労省では、医療法改正に合わせ、外部委託事業であるネットパトロール事業による指導を強化しているとしていますが、医療広告ガイドラインや同Q&A、新たに公開された事例解説書における限定解除の仕組みや規制の根拠がわかりにくい、その内容に論理的一貫性がない、などの問題が指摘され始めています。

当協議会では、改正医療法施行後の2018年夏にも、脱毛や脂肪吸引等の自由診療で使われる医療機器や医薬品を使った治療に関する情報の提供法について調査を実施、未承認の医療機器等に関する情報提供が不適切に行われていることがわかりました。

これらの調査を受けて、当協議会では今後も、美容医療を行う医療機関の医療広告に関する調査を継続するとともに、医療広告ガイドラインや関連する法律知識に関する講習会を開催するなどして、関係業界へのコンプライアンスの啓発に取り組んでいきたいと考えています。

eヘルス協議会は、医療・健康サイトに認証マークを付与する一般社団法人日本インターネット医療協議会(JIMA)の認証受託業務も行っています。また、まもなく策定が予定されている、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の、いわゆる「あはき・柔整の広告ガイドライン」に関する講習会や同分野での認証制度の運用開始も計画しているところです。

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