美容医療サイトでの医療機器等の広告を調査

一般社団法人eヘルス協議会(東京、代表理事・三谷博明)は、6月1日に施行された改正医療法により、医療機関のウェブサイトが広告規制の対象になったことを受け、主に自由診療で美容医療サービスを行う医療機関のウェブサイトにおいて、厚労省が定めた医療広告ガイドラインに基づき、医療機器や医薬品に関する情報提供が適切にできているか調査を行いました。7月から8月の間、美容医療を行いウェブサイトを有する全国の医療機関907件の中から、治療で使う医療機器等の情報提供を行う101のサイトを無作為に選んで、医療脱毛や脂肪吸引等の医療機器や、医薬品を使った治療に関する情報の提供法を調べたところ、未承認の医療機器に関する広告とみなされる情報提供が不適切に行われていたり、同ガイドラインでは不可とされている承認済の医療機器や医薬品の販売名の記載が一般向けに行われていることがわかりました。

未承認の医療機器に関する広告とみなされる情報提供が101サイト中78サイト(77.2%)で不適切な方法で行われていました。また、承認されていても認められていない医療機器の販売名の記載が22サイト(21.8%)ありました。AGA治療薬やED治療薬等の医薬品の販売名の記載が17サイト(16.8%)ありました。

これらの広告は、医薬品医療機器等法(薬機法)でも規制されていますが、医療機関については別途医療法において薬機法に準じた規制が行われています。厚労省の新しい医療広告ガイドラインでは、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについて一定の要件を満たした場合に広告可能事項の限定を解除可能とする、いわゆる「限定解除」の扱いが初めて定義されたところです。今回の事例では、医療機器や医薬品の販売名の記載に必要なこの「限定解除」の要件を満たしていませんでした。また、厚労省が作成した医療広告ガイドラインに関するQ&Aにおいて、未承認医薬品、医療機器を用いた治療に関する広告を行うにあたっては、さらに未承認医薬品等であることの明示や入手経路等の明示、国内の承認医薬品等の有無の明示が求められていますが、これらの要件も満たしていませんでした。

これまで長年、インターネットの医療機関のウェブサイトについては、広報もしくは情報提供の扱いで広告規制の対象外とされてきましたが、美容医療サービス分野での消費者トラブルの増加を受け、昨年成立した改正医療法により、誘引性ある表示として看板やチラシと同じく広告規制の対象となっています。

eヘルス協議会では、美容医療を行う医療機関を対象に昨年12月1日に施行された特定商取引法に関するセミナーや今回の医療広告ガイドラインに関する講習会を開催するなど、関係者へのコンプライアンスの啓発に取り組んでいます。

同協議会は、現在、医療・健康サイトに認証マークを付与するNPO法人日本インターネット医療協議会(JIMA)の認証受託業務も行っています。今年度に策定が予定されている、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告ガイドラインに関する講習会や同分野での認証制度の運用も計画しています。

※本調査事業に関し、読売新聞(2018年9月28日付夕刊)に報道記事が掲載されました。

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